商談を成功させる為には事前の準備が重要な3つの理由とは?勝てる商談の準備と進め方について解説

プレゼンテーション

お客様へ自社製品やサービスを知っていただく上で重要な「商談」。みなさんは普段、商談に向けてどのような準備をされてますでしょうか。「いつもの資料」と「いつものサンプル」だけという方や特に準備はしない、という方も少なくないかもしれません。今回のテーマは商談の成功や勝てる商談のための事前準備についてです。
商談で成功する、あるいは勝つためには、当然、商談そのもののも大切ですが、事前準備も同じ位に大切な要素です。
準備不足で商談中にまとめきれなかったり、緊張しすぎて失敗するという事もあったりします。
そこで、商談の事前準備について重要となる理由や準備の仕方や進め方についてわかりやすく解説したいと思います。

本記事を特に読んでみて欲しい方
  • 営業職として新たに働き始める方
  • 商談でのスキルを向上させたい方
  • 営業メンバーを指導、育成されている方

事前準備で商談のクオリティは大きく変わります。
当然、商談の成功率や勝率にも影響する大切な部分です。
そこで今回、私自身が実際の営業の際に心がけてきた点や、営業メンバーをマネジメントをする際に注意を促している点をまとめてみました。ポイントを押さえて、商談に向けてぜひお役立ていただければと思います。

商談とは

商談とは、2社以上の間で行われる取引に関する交渉や相談、話し合いのことを言います。
一般的には、商品を売る側やサービスを提供する側の視点で、自社の商品やサービスの案内を行い、課題の解消や見積内容への理解を経て、購入や契約へ結び付けていくものです。

商談の参加者は大きく、2つに分類できます。
「商品を売る側やサービスを提供する側」と「商品を買う側やサービスの提供を依頼したりサービス提供を受ける側」です。
一般的に前者に対して後者は顧客・お客様にあたります。

まず初めに、それぞれの役割ごとに商談を行う目的を整理しておきましょう。

商品を売る側・サービスを提供する側の目的

商品を売る側、サービスを提供する側が商談を行う目的の多くは、自社の製品やサービスを購入いただいたり導入いただいたりする為です。
その他、事業拡大や商品やサービスの改善、クレームの解消を目的として行う場合もあります。

なお、一般的に商談という場合は、この商品を売る側やサービスを提供する側の視点で解説することが多いです。
本記事も、いわゆる売る側の視点を中心に解説させていただきますが、一方、商談の成功のためには買い手側の視点も欠かせない要素です。
買い手側の視点も正しく押さえることで、商談の成功率や勝率は各段に向上するでしょう。

商品を買う側・サービスの提供を受ける側の目的

商品を買う側やサービスの提供を受ける側は、何かしらの課題を抱え、それを解消する目的で商談を行うケースが多いです。
よって、売り手側の場合は、買い手側がどのような課題を抱え、どのような解決を望んでいるのかを的確に押さえる必要がございます。
そして課題の多くは、to Bであれば、「もっと儲かりたい」「もっと楽したい(効率良くしたい)」に集約されることがほとんどです。
この買い手側の根本的な目的に寄り添う形で、売り手側は、「もっと儲かるためには」「もっと楽する為には」を商談の場で提案し理解を得る必要がございます。

商談の流れ

「商談の流れ」には大きく2つの意味合いがごぎいます。
ひとつは、商談中の進行を意味するものです。商談という行為の各論にあたります。
そしてもう一つが、商談の前後も含めた商談という行為に付随する全体の流れです。商談の流れに関して総論に該当します。
どちらも大切な要素ですが、今回は後者の総論としての商談の流れについて解説いたします。

各論的な、商談中の進行に関する流れは、プレゼンテーションのカテゴリーにも関係しますので、また別の機会に詳しく解説させていただきます。

アポイント

アポイントとは、アポイントメント(Appointment)の略で、更に省略して「アポ」とも呼ばれます。
アポイントメント(Appointment)そのものは、「予定」を意味しており、その語源のとおり、アポイントとは、商談や面接・面談における日時や場所の約束を取り付けることをいいます。

商談でアポイントを取る流れは、電話かメールを利用するのが一般的です。
相手側が「詳しく話を聞いてみたい」と感じていただけるような内容で電話のトークやメールの件名であったり本文を工夫する必要がございます。

アポイントの取得ができなければ、商談の成功数が増えることはありません。
その為、アポイントの取得においても一定レベルの知識やテクニックは求められます。
アポイントを取得する効果的なメールや架電方法は別途、詳しく解説いたします。

事前準備

今回のメインテーマが「商談における事前準備」についてです。
以前に、仕事の段取りや、段取り良く進め得るためのノウハウをご紹介したことがございました。

商談の事前準備は言うなれば、商談を効率よく進めるための「段取り」に該当します。
そして、この段取りがしっかりと行われていれば商談は成功させやすくなります。
この後、詳しく解説いたします。

商談

しっかりと事前の準備を整え、いよいよ商談の当日を迎えます。
客先へ訪問するのであれば、10分以上前には現地に到着しておくのが良いでしょう。
受付で戸惑ったり、思わぬトラブルがあって商談の時間に遅れてしまっては相手へ迷惑がかかります。
早めに到着し、事前に商談の流れを再確認したり服装を整えたりしておくのがおすすめです。

詳細は割愛しますが、商談中の流れは以下が一般的です。

商談の進め方
  • Step 1
    挨拶、名刺交換

    まずは自己紹介や関係者の紹介、挨拶や名刺交換を行います。

  • Step 2
    アイスブレイク

    商談の本題に入る前に関係者の緊張感をほぐす雑談がアイスブレイクです。特に初対面の場合は相手も警戒していることがございますのでアイスブレイクをはさむ効果は大きいです。

  • Step 3
    要件定義、課題の整理

    本題に入り、お客様が抱えている課題や悩み、要望や希望を整理していきます。その際、事前のヒアリングや事前に仮説を持っておくことが大切です。

  • Step 4
    方向性についての確認

    提案する内容を採用いただくことでどのような解決が得られるのか、どのように解決していくのかをまとめ、目的にずれが無いように確認します。

  • Step 5
    商品やサービスの提案、事例の紹介

    具体的に商品やサービスを紹介したり、デモをご覧いただいたりします。他社の成功事例なども踏まえながら導入した場合の解決をより鮮明にイメージしていただきます。

  • Step 6
    クロージング、まとめ

    商談をまとめて購入や導入の意向を確認します。その場では購入や導入に至らない場合でも、提案内容へのディスカッションや今後の進め方、次に提案が必要な場合はその内容と次回の日程等をすり合わせしておきます。


今回は、商談の事前準備を中心に解説しますので、上記の詳細はまた次の機会に詳しく解説させていただきます。

アフターフォロー

まず、アフターフォローですが、大きく2つに分類できます。
・商談後のアフターフォロー
・購入後やサービス導入後のアフターフォロー

前者は成約に至るまでのプロセスの一つであり、商談は続いているステータスになります。
後者の場合は、商品や製品の満足度を高め継続してご利用いただく為のもので、カスタマーサクセスなど別な部門が担当することも多いです。
どちらのアフターフォローもとても大切な目的があり役割を果たします。

そもそも、商談というのはお客様にご購入いただく為の手段であって目的ではありません。
いくら良い商談やプレゼンができたとしても、その後のフォローが足りずに失注してしまうこともあり得ます。

また、購入いただいたり、サービスを導入いただくことも、より高い視点で見れば最終の目的とはいえません。
繰り返しますが、お客様が商談に求めるのは課題の解決です。
商品の購入やサービスの導入によって、お客様の課題解決につながって初めて「お客様にとっての価値」となります。
お客様の価値向上のため、購入いただいた事を入り口として継続的なフォローを通じ利用中の課題を伺ったり改善に努めたりする必要がございます。

商談を成功させるために事前準備が重要な3つの理由とは

それでは今回のテーマ、商談を成功させるための事前準備について解説していきます。
まず、なぜ事前準備が重要なのか3つの視点から解説いたします。

理由①顧客への理解を深めるため

事前準備で最も大切とも言えるのが「顧客への理解」です。
商談する相手がどのような方で、どのような課題を抱えているのか、分析しておく必要がございます。
なぜならば、商談する相手となる顧客が抱えている課題を解消できなければ、そもそも商談の成功は見込めないからです。
商談の事前準備をしっかりすることは、顧客への理解を深めるための時間を確保することでもあります。
業種や業態の最新の動向、相手先企業のホームページから得られる情報、など事前に理解を深める要素はいくらでもあります。
特に大切なのが「顧客の真の課題」です。
こちらは商談前に必要な事前準備としてこの後、詳しく解説いたします。

理由②自社製品への知見を高めるため

商談の前に自社製品への知見を改めて高めておくのも大切です。
お客様が求めるのは、商品やサービスそのものではなく、商品やサービスによって「課題が解決されること=価値」です。
商品そのもの、サービスそのものは、お客様にとっては手段の一つに過ぎません。
価値とは利用してはじめて確認できるものです。

その為、商談する相手が、どのように自社の商品やサービスをご利用になり価値を感じていただけるのか、事前に確認しておく必要がございます。
価値とは使い方、に表れるものです。
商談する相手それぞれで使い方は異なるはずです。
より具体的な「お客様の使い方」が見えれば、商談の成功率は確実に向上します。
商談の事前準備として、自社製品への知見を顧客に合わせて再確認しておきましょう。

理由③市場と競合を正しく定義しておくため

商談で事前準備が大切な理由の最後は、競合やその商品やサービスの市場について正しく定義しておく、ということです。
競合とは、「お客様が自社の商品を選ばなかった場合の選択肢すべて」が競合と認識しておくと良いでしょう。
ラーメン屋の競合はラーメン屋だけではなく、お客様がランチに利用するのであれば、ランチで行こうと思う選択肢すべてが競合です。
パソコン教室でも、通学型の提供のみではなく、オンラインで学んだり本を買って独学することもできます。
お客様が抱える課題を解決できる選択肢は無限にある、と思っておいて良いでしょう。
自社と同じ業種や業態ばかりに目を向けていると、お客様を思わぬ競合に取られてしまいます。
事前に、お客様が求める課題の解決につながる競合にはどのようなものがあるのか、しっかりと定義しておく必要がございます。
よって、市場と競合を定義しておくことは、商談の事前準備において、とても重要となります。

商談前の事前準備と「3C」

上記3つの理由をご覧いただいてお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、重要な理由の3つはいわゆる「3C」のフレームワークで構成されております。
3Cとは、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの用語の頭文字「C」を取っており、事業戦略やマーケティング戦略を立案する上で利用されるフレームワークのひとつです。

フレームワークはものごとをMECEで捉えるために欠かせないもので、3Cはその中でも代表的なフレームワークのひとつです。MECEで物事を押さえるのも大切なスキルです。以下の記事も合わせてご覧いただければと思います。

商談を成功させるために必要な事前準備

それでは、具体的に商談前の事前準備について詳しく見ていきましょう。

顧客の真の課題を押さえる

商談や営業の事前準備として欠かせないのが「顧客について」です。
特に顧客が抱えている真の課題は仮説ベースでも押さえておく必要がございます。
顧客について事前準備するポイントをご紹介します。

①企業の基本情報

基本情報として、商談相手企業の「設立」「従業員数」「所在地及び拠点」「事業内容」「沿革」などは相手先企業のホームページも参照しながら確認しておきましょう。
特に「事業内容」や「沿革」には商談において大切なヒントが多くございます。
事業内容で言えば、主力となっている事業はどのような内容でターゲットは誰なのか、どのような提供方法を取っているのか、など企業側とその顧客側の双方の視点で確認してみると良いでしょう。
沿革も重要なポイントがございます。なぜ、現在の主力事業に注力するに至ったのか、どのような変革を遂げてきたのか、沿革から想像することができます。
また会社概要として「ミッション(MISSION):企業に与えられた使命」「ビジョン(VISION):企業が目指している姿」「バリュー(VALUE):企業の提供価値、存在意義」といった項目を掲げていることも増えております。
これらの内容に共感し、支えることができる提案は相手先へ刺さりやすいです。
必ず事前準備として確認し押さえておくようにしましょう。

②商談相手の基本情報

次に、実際に商談する相手についても理解を深めておきましょう。
相手が営業系の職務なのか総務系の職務なのか、あるいは、現場に近い立場の方なのか管理職の方なのか、その方の仕事の内容や立ち位置によって商談に求める解決したい課題は異なります。
また企業の基本情報とも重なる部分ではありますが、商談先の企業の組織を把握し、その組織においてどのような立ち位置の方なのかを押さえておく事も大切です。商談する製品やサービスにおいて相手社内で承認や決裁をする権限のある方なのか、最終決定する人は誰なのか、という情報を掴むためにも重要です。
そして、商談を成功させるためには商談相手との信頼関係の構築は欠かせません。
商談相手がどのような課題を持ち、悩みを抱えているのか具体的にイメージするためには情報は多い方が良いです。
アポイントを取得する際、相手先企業のホームページ、時にはSNSなどを通じ、可能な限りの情報収取をしておくようにしましょう。

③ニーズの絞り込み

企業と商談相手の基本情報を整理していくと、相手がどのような課題を持ち、どのようなニーズを持っているのかをイメージしやすくなります。
仮説でも構いません。いくつか想定されるニーズをメモに書き出してみましょう。
役割や立場によって、売上を増やしたいのか、利益や生産性を向上させたいのか、人材不足を解消させたいのか、いくつかのテーマに絞り込めるはずです。
ぜひ箇条書きでも構いませんので、商談において相手先が求めるニーズを絞り込んで書き出してみましょう。

④課題の仮説

ニーズがある程度まで絞り込むことができれば、具体的に本質の課題を整理していきます。
絞り込んだニーズに対して、「なぜ、(商談の相手先は)そのようなニーズを抱えているのか?」と自身の仮説を掘り下げていってみましょう。
売上を増やしたい、というニーズを導いていたとして、その方の悩みが既存の事業に対してなのか、新規の事業に対してなのか、事業を取り巻く環境の変化が大きいのか小さいのか、様々な要素で掘り下げてみます。
そうする事で、顧客が抱える真の課題が見えやすくなってきます。

自社製品で解決できる理由を押さえる

お客様の解決したい課題が整理できたら、その課題を解決するための自社製品(商品やサービス)について改めて整理しておきましょう。
基本情報として、特徴やセールスポイントはもちろんですが、顧客の課題に沿って、必要な情報を整理して伝えるために準備が必要です。
その際に、自社の商品やサービスをどのように使って頂くのか、具体的にイメージした上で、必要な資料やサンプル、デモ画面などを用意しておくと良いです。
お客様が課題の解決のために使う際の「使い方」に価値がございます。
「Aという商品は〇〇に優れていて、△△で最新の技術を搭載し・・・・」と自社の商品の良い部分を淡々と説明するより、
「お客様の□□という課題を◇◇の面から解消できるのがAでございます。なぜならば・・・」というように、自社製品で課題を解決できるという結論を用意した上で、その理由をしっかりと示していく方が商談の成功率は高まります。
まずはお客様それぞれの「使い方」に着目し、お客様の課題を解決できる理由をしっかりと整理しておきましょう。

競合製品との違いを整理する

では、お客様の課題が見えて、その課題を自社製品で解決できるストーリーがあれば、必ず商談は成功するのでしょうか?
ここでもう一つの観点が必要です。いわゆる競合の製品です。
いくら自社の製品でお客様の課題を解決できたとしても、競合の方が優れていたり、導入のハードルやコストが低い場合には、自社製品が選ばれる可能性が低くなります。競合にあたる製品との違いを押さえ、自社が優位に解決できるポイントと、劣っている点があるのであれば、そこをカバーする提案の用意が求められます。

資料や必要なデモ環境を揃える

以上のポイントが整理できたら、具体的な資料や必要なデモ環境、サンプルの製品などを用意していきます。
何をいつまでに用意するべきかチェックしながら抜け漏れがないように進めていきましょう。
資料についても、対面であれば印刷して渡すのを何部必要なのか、デモ環境をご覧いただくための環境は用意されているのか、など、商談当日をイメージしながら確認しておく必要がございます。
当日になって、資料の部数が足りなかった、ネットワーク環境が悪くデモを見せられなかった、サンプルが届いていなかった、というような事のないようにしましょう。
刺さるプレゼンテーションに必要な資料づくりのポイントは以下の記事でも紹介しております。合わせてご覧ください。

ロールプレイングで練習する

新入社員の方や営業職で間もないという場合などは特にロールプレイングで練習しておくこともおすすめしております。
ロールプレイングとは、営業の教育手法のひとつとして社内で行われるもので、実際の商談の流れを説明役と聞き手役に分かれて確認していくものです。ロープレと略されることが多いでしょう。
なお、ロープレまではいかなくとも、実際の商談をイメージして会話の流れや質疑応答に備えておくことは大切です。当日に想定外の質問で慌てないようにする為にも、話したい内容を忘れてしまわないようにする為にも、商談を成功させる為の準備としてしっかりと備えておくようにしましょう。

商談の際の注意点

ここまで準備を進めることができれば、商談の成功率はかなりたかまっております。
更に商談を成功させるために心得ておきたい注意点についても補足させていただきます。

会話の中心はお客様

商談とは、顧客の課題を解決するための話し合いです。
よって商談の際には顧客を中心に会話を進める必要がございます。
営業中心の会話では、営業は、自分の伝えたいこと、用意したこと、トークマニュアルにあること、を話していきます。
もちろん営業という職務上、それ自体が間違いという事はございませんが、優れた営業は顧客の会話の聞き手となり、理解を深めることに重きを置きます。
事前に検討した顧客に対しての仮説を検証しながら、必要な質問を適宜、織り交ぜていきます。
一方的に自分の都合で話す営業と親身になって話を聞いてくれる営業では、後者の方が信頼を得やすいであろうことは想像いただけるかと思います。
顧客を中心に商談を進めるポイントはふたつです。

・前半で課題の要件定義を行う
・後半の質疑応答の時間を十分に設ける

それぞれ詳しく確認しておきましょう。

前半で課題の要件定義を行う

商談を開始して直ぐに紹介したい商品やサービスの説明に入るのではなく、必ず、お客様の課題について確認する時間を作るようにしましょう。
お客様に合わせて予め資料の最初のページで、「要件定義」「本日のテーマ」「本件の目的」といった項目で課題について検討したことをまとめておくとスムーズですし、お客様へも「自分のために考えてくれている」という印象を持っていただきやすくなります。
1ページで過剰書きで構いませんので、課題を整理したページを用意しておき、商談の冒頭で確認し合う時間を取るようにしましょう。

後半の質疑応答の時間を十分に設ける

1時間の商談の時間を頂いたからと言って、1時間を自分の話だけにしてはいけません。
必ずお客様にも発言いただく事を意識しておきましょう。
特に、資料や商品を説明した後は、お客様側で確認したい部分や気になる点は様々あるはずです。
お客様から質問をいただく時間を想定して説明する時間の配分を調整するようにしましょう。
目安としては15分ほど残して自身の説明を終えるのをおすすめいたします。
10分より短いと次の予定を気にして質問しにくい場合もございますし、20分以上ですと説明が不十分な可能性があるためです。
また自分が説明している最中にも、お客様が話したそうな場合は優先し、お客様側が話す時間を大切にしましょう。

顧客の課題解決と成果を具体化する

商談では、課題がどのように解決していくのか具体的に示しておく必要がございます。
またお役様にとっての成果(コスト削減、売上増加、など)も数字でシミュレーションできるのであれば、具体的な数字を用意しておくと良いでしょう。
商談で具体的な会話をすることで、お客様側も具体的に置かれている環境や立ち位置など相談しやすくなります。
双方の持つ商談の目的をひとつにまとめる為には、より具体的に会話を進める必要がございます。

商談後の注意点

今回のテーマは商談を成功させる為の事前準備ですが、商談後にも成功へ導くための注意点がございますので合わせてご紹介いたします。

継続的なフォロー

商談後の注意点のひとつ目は継続的なフォローです。
商談でお時間を頂いた事への御礼はもちろんですが、商談で得た顧客の関心や課題に関する情報をもとに、適切なフォローを継続する必要がございます。
特に、商談から誓約までの検討時間が長い商材や製品の場合は、継続的なフォローを疎かにすることで失注してしまう事もありえます。
また、商談中に求められるお客様からの宿題事項へは速やかに応えておくようにしましょう。

顧客管理情報の更新

社内で顧客を管理しているシステムやツールがある場合、その情報を随時更新することも心がけておきましょう。
関係する部所や引継ぎが必要な場合にも情報を更新し共有することは大切なことです。
また、商談の内容をきちんと記憶しておくための記録としても顧客管理情報を更新するのが大切です。

できる営業の5つの心構え

それではここで、これまでの内容を整理してみます。
商談を成功させやすい「できる営業」として、特に心がけておきたいポイントは大きく次の5つです。

本記事の締めくくりとして振り返っておきましょう。

①顧客へ興味を持つ

まずは商談する相手、お客様への興味関心を持つということです。
「あなたの事をもっと知りたい」という気持ちがあれば、お客様への質問も、より具体的になりお客様の立場に近づくことで、双方の距離感は縮まるでしょう。
お客様へ無関心な状態は態度にも現れがちです。自分のことを理解しようとしてくれない営業から商品を購入しようという気持ちにはなりにくいです。
商談に臨む際のスタンスとして、顧客へ興味・関心を持つということを念頭に置いておきましょう。

②顧客の課題へ目を向ける

お客様が商談に求めるのは課題の解決です。
何かしらの課題があって商談を通じ解決をしたいと考えています。
その際に、お客様自身も気づけていない真の課題にも着目するということを忘れないようにしましょう。

③話す相手に合わせてトーク内容を変える

鉄板ネタ、鉄板トーク、というものはあって良いのですが、商談で話す内容は相手に合わせて変わるべきものです。
なぜならば、お客様それぞれで抱えている課題が異なるからです。
飲食店でも定番のメニューはおすすめ品となりますが、顧客層によっておすすめすべきメニューは異なるはずです。ファミリー層であれば子どもにも食べさせやすいもの、学生グループであれば満腹感を得られやすいもの、若い女性層であればおしゃれで写真映りの良いもの、など顧客に合わせておすすめ品をアレンジできる店員の方がより追加の注文を取り付けたりと、店舗の売上に貢献するでしょう。

④上手な聞き役になる

営業=売る仕事というイメージが強いかもしれません。
その為、話がうまい人が営業に向いているという勘違いをしている方もよく見かけます。
もちろん、話がうまい、という事は悪いことではなく、身に付けておいた方が良いすきるではありますが、聞き上手でうまく聞き役になれる営業の方がお客様の課題を解決しやすいものです。
理由は明確です。なぜならば、上手な聞き役はお客様の課題に傾聴することで、より良い提案することにつなげられるからです。
口下手だから営業に向いていない、と思う必要はまったくございません。
営業はまずお客様の話を聞くことから仕事が始まります。お客様の課題や悩みにしっかりと耳を傾けることができる「上手な聞き役」に努めるようにしましょう。

⑤備えあれば患いなし

本記事のテーマでもあります。
商談を成功させるためには事前の準備が大切で、準備すべきポイントも3Cで整理していく事で押さえやすくなることをご紹介いたしました。
備えあれば患いなし、この熟語はそもそも、いざという時の備えという意味合ではございますが、あらゆる場面を想定して準備しておける営業の方が、商談の成功率は高いものですので引用させていただきます。

商談の準備でよくある質問

FAQ

最後に、私自身が営業のマネジメントをしていた際にメンバーからよくお悩み相談として質問いただいていた事をご紹介いたします。

Q
プレゼン資料の作成が苦手です。どうしたらうまくなりますか。
A

はじめに、「誰のために」「何を伝えたいのか」、改めて整理してみましょう。
そうすることでプレゼンで伝えるべき「メッセージ」が明確になります。
メッセージが明確になれば、「どう伝えるか」を工夫していくだけです。
プレゼン資料には基本の構成があり、1スライドにひとつのメッセージをまとめていく必要がございます。
具体的なコツは以下の記事でも詳しく解説しておりますので合わせてご参照ください。

Q
話しているうちに何を言いたいのかわからなくなる事があります。
A

そもそも、「何を言いたいのかが整理できていなかった」可能性がございます。
営業は沈黙を恐れるがあまり、ダラダラと話をしてしまったり、答えにくい質問へ明確な解が無いままに話を初めてしまいがちです。
商談は会話で進行されるもので、会話というはひとつのコミュニケーションです。「間(ま)」もあって良いですし、話すべきことが明確になるように、確認のやり取りを挟んでも問題はありません。
話す前に話すポイントを頭の中で整理できるように意識してみてください。
参考までに、コミュニケーション能力について解説した記事もご紹介いたします。

まとめ

商談の成功は事前の準備で決まります。
いわゆる「段取り」が大切です。
今回は営業職の商談をテーマにお話を進めましたが、「段取り」は仕事をする上で欠かせない要素で、効率良くものごとを進めるためにも身に付けておきたいスキルです。
商談の事前準備にも精通する部分が多くございますので、以下の記事も合わせてご覧いただければと思います。

記事執筆者
Kazu

営業及びマーケティングでマネジメント職に従事すること10年。
現職では法人向けに業務効率系のITツールを販売する新規SaaS事業を立ち上げから携わり、日々、取引先の業務効率向上に向けて活動しています。

(営業・マーケティング実務の主な略歴)
・toC向け通販やECサイト事業会社へ事業企画や事業戦略立案
・SaaS事業の立上げと運営
・企業が運営するコラムの企画提案や記事執筆

仕事柄での経験を通じた働き方改革や仕事術を社内向けに整理しながら、2023年2月、仕事に役立つ情報を共有するサイトとして「e-仕事ラボ」を開設。
現在はChatGPTも駆使しながら業務を進める傍ら身に付けたプロンプトの独自のノウハウをチームメンバーに伝授。
本サイトでもデジタル社会での仕事や業務効率化に役立つ情報をお届けしていきます。

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