論理的思考力とは?仕事に役立つ論理的思考の鍛え方と実践で役立つツールをわかりやすく解説

思考法

今回のテーマは「論理的思考力」です。「論理的思考」は物事を体系的に考えていく思考法でロジカルシンキングとも呼ばれるビジネススキルです。そして論理的思考で考えていく力を「論理的思考力」と言います。

論理的思考力を鍛えておけば、どんなに複雑なものごとであっても、体系的に整理していくことでシンプルに説明できます。
仕事の場面では、自分の考えや主張をわかりやすく伝えるうえでとても重要な思考法ですし、新社会人の方でも身に付けておくべきスキルです。
就活生の方でも身に付けておけば就活の武器とできるでしょう。

本記事を特に読んでみて欲しい方
  • 「結論は?」「結局何が言いたいの?」と指摘されることが多い方
  • 新入社員や新社会人として新年度を迎える方
  • 就活で自身の考えや主張をしっかり説明していきたい方
  • はじめての部下への育成で課題を感じている方

ぜひ仕事を進めるうえで基本となる思考法としてご活用ください。

論理的思考・ロジカルシンキングとは

論理的思考とはすべてのビジネスパーソンにおいて身に付けておくべきスキルであり、物事を体系的に整理し筋道を立ててシンプルにしていく考え方です。
論理的思考で検討された問題の解決策は矛盾や飛躍がなく、聞き手にわかりやすい構造となりますので、周囲への説得力が増します。

論理的思考の歴史は古く、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスによる論理学に由来するともいわれます。
現代では問題解決のフレームワークとして広く活用されており、様々なツールや派生した考え方が仕事の現場で使われております。

論理的思考とは、複雑なものをシンプルにする為に必要な考え方

「論理的」と言うのは難しそう、と感じられる方もいらしゃるかもしれませんが、考え方の基本を身に付けておけば、応用はしやすいスキルでもあります。
論理的という言葉へ苦手意識のある方も、ぜひ本記事をご参照いただき論理的思考の第一歩を踏み出していただければと思います。

また、仕事で求められるコミュニケーション能力について解説した際にも、「論理的に伝える力」や「伝える力を高める方法」などご紹介しておりました。伝える力については、PREP法と呼ばれる手法もご紹介しております。興味のある方は以下の記事も参照ください。
(参考):コミュニケーション能力とは?仕事で求められる力と高めるポイントについて解説

仕事での論理的思考の役割や重要性について

論理的思考は、どのような業種、業態であっても求められるスキルで、様々な企業が社内外での研修、リスキリングなどでテーマとして取り入れております。

では、なぜ仕事において論理的思考が重要とされるのでしょうか。論理的思考が果たす役割とはどのようなものでしょうか。
仕事での論理的思考の重要性から解説いたします。

(参考):リスキリングとは
リスキリング(学び直し)は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や働き方の変化、ITやAIの発達、などを背景に業務で求められるスキルや技能も変化していくことへ対応するため、求められるスキルを習得する取り組みのことを言います。経済産業省から提唱され、仕事を通じた新しい価値の創造のために活用されております。
対象となる分野としては、語学・プログラミング・データ分析・マーケティング・情報セキュリティ・コミュニケーション力・AI、などの分野が人気です。
論理的思考のリスキリングとしては、プログラミングやコミュニケーション力のスキルでも求められる技能としても取り扱われます。

因果関係を整理し真の原因を突き止められる

業務や仕事に必要な情報は通常、あちこちと点在しているもので、全体像を理解するためには情報が整理された状態が必要です。
一つ一つの情報を構造的に整理していくことで、情報どうしの関係性(つながり)や因果関係を整理し、全体を掴みやすく検討しやすい状態にすることができます。

因果関係とはすなわち、原因と結果のつながりをいいます。
様々な情報のインプットから、自分の考えや意見を整理してアウトプットを導きだしていくためには、論理的思考によって情報どうしの因果関係を整理し、真の原因を突き止めたり、構造的に説明できるスキルが必要となります。

例えば、「売り上げが下がった(結果)」原因を分析するよう業務指示があったとしましょう。
売上を「客数」と「販売単価」と「販売数量」に分解し、それぞれの変化と売上の減少の関係を見比べることで、売上が下がった真の原因を突き止めることができます。
真の原因がわからなければ、解決策も的外れになる可能性があります。「客数を増やす施策」と「販売単価を増やす施策」とでは取り組み方が大きく異なるでしょう。
その為、結果という事象に対する因果関係を整理し、真の原因を突き止める必要がございます。
因果関係を整理するという論理的思考はこのような場面で役立ちます。

因果関係とは、原因と結果のつながりを意味する

情報社会において情報を整理し活用する必要がある

情報社会(情報化社会)とは、情報を価値として、情報を中心に活用し機能していく社会のことをいいます。
現代社会は暮らしと情報通信ネットワークは切り離せない社会となり、仕事の現場においても情報を整理し活用する力が求められます。

日々流れる大量の情報の一つひとつを考え判断し整理していくためには論理的思考力は欠かせません。
論理的に情報を活用していくには、情報収集と情報分析に分けて考えてみると良いでしょう。
仕事で必要な情報を収集する際には情報の正確性と有益性が求められます。これらの情報を収集する感性があれば、インプットされる情報の量も質も高まります。情報収集においては、無作為に情報を収集するのではなく、仕事において有益な情報を選択しながら収集する論理的な思考が必要です。ここでは情報のつながりに着目してみると良いでしょう。「A社が事業を拡大」という情報に対して、どのような背景で拡大するのか、どんな事業へ拡大するのか、既存の事業との関係性は、と考えを深めることで情報を論理的に整理していく力が身に付きます。

そして次に、収集した情報は分析し質の高いアウトプットへつなげていきましょう。ここでは情報から仮説を立て判断していく論理的な思考が必要となります。
複数の情報を組み合わせて新しいアイデアを生み出したり、ひとつの情報から別な事例に当てはめることで新しい価値を生み出したりしていくことができます。
まったくゼロの状態から生み出すアイデアよりも、何かの情報をヒントに論理的に導きだしたアイデアの方が、説得力のある内容となり成功の確度も高まります。

情報を活用するためには情報の収集と情報の分析が欠かせない

また、情報収集などを便利に進めるツールとして、話題の生成AI「ChatGPT」を活用する事もできます。
ChatGPTを活用した情報収集などの業務効率化事例について下記の記事で解説しております。

論理的思考力は教育の現場でも必要とされつつある

新しい社会、次世代に必要な資質t・能力として小学校段階でも論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成が推進されております。
情報社会に必要なプログラミング教育の育成の上でも論理的思考力は不可欠であり、文部科学省が中心となって有識者会議を設置し学校と地域社会の中で効果的に資質と能力を育むための方針や条件整備について検討を進めております。

(参考:)「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」について

わかりやすく伝える力を身に付けていく

「話がまとまらない」「言いたいことが伝わらない」「途中から何を話したいのかわからなくなる」という方は論理的に話をつなげていくことを意識してみることをおすすめします。

話す内容に筋道を立てて構成していくこと、結論から伝えていくこと、理由を相手の疑問に答える順番で伝えていくこと、このあたりを意識するだけでもわかりやすく伝える力は高まります。

論理的思考・ロジカルシンキングを鍛えるメリット

論理的思考の役割や重要性を認識したうえで、具体的なメリットについても確認しておきましょう。

問題解決力の向上につながる

論理的思考力は、物事を順序立てて矛盾がないように考える力です。
論理的思考力が鍛えられていれば、問題が発生した場合でも、「なぜ発生したのか」、「どのような問題が起きているか」、「どのような解決策があるか」、と整理しながら考えていくことができます。そのため、解決への道筋も立てやすくなり問題解決力の向上へつながっていきます。

問題解決は「e-仕事ラボ」のテーマのひとつ「思考法」の中でも重要なスキルにあたりますので、改めて詳しく解説させていただきます。

プレゼンテーションや提案の質が向上する

論理的思考は先述しましたとおり、わかりやすく伝える力を身に付ける役割もはたします。
わかりやすいプレゼンテーションは、聞き手にとって理解しやすく説得力が高まります
仕事の現場では社内の同僚、上司、社外の取引先やお客様など、様々な場面でプレゼンテーションをする機会がございます。

プレゼンテーションも本サイトのテーマのひとつとなりますので、プレゼンのスキルや刺さるプレゼンのコツや方法など、具体的にご紹介してまいります。

コミュニケーション力の向上

論理的思考力が高ければ、相手の意見を理解する力も自分の意見をわかりやすく伝える力も兼ね備えることとなります。
コミュニケーション能力を分解するならば、大きく「聞く力」と「伝える力」に分けられますので、その双方を兼ね備えることは、結果としてコミュニケーション能力の向上へつながります。

コミュニケーションは双方向の矢印で成立します。聞く力も伝える力もどちらも大切なスキルであり役割がございます。
論理的思考力を鍛えることでその両方の力も鍛えられるのは大きなメリットといえます。

論理的思考が鍛えられていない場合の特徴

論理的思考力が鍛えられていない場合、会話をしてみるといくつか共通した特徴があることに気づきます。論理的思考が鍛えられていない代表的な特徴をご紹介いたします。

結論がつかめない

まず、何が言いたいのかわからないケースです。論理的な構造とは、ひと言でいえば「結論」が明確にあり「理由」で支えられている、ということです。
そもそも「結論」が明確になければ論理的な構造は成り立ちません。

私の経験上、結論がつかめない方の多くは、自分の中の結論がまとまっていないか、自分の話したい(話しやすい)順番でしか話せない、というパターンが多く見られます。解決方法としては、結論を明確に話し、その理由を述べていく、ということを繰り返し身に付けていただくこととなります。

行動している目的を見失う

「目的を見失う」というのも論理的思考が鍛えられていない方が陥りがちなポイントです。
目的を見失う現象は大きく2パターンあります。そもそも目的がきちんと定まっておらず違う方向へ行ってしまうパターンと、手段が目的化してしまうパターンです。前者はそもそも目的を明確にしましょう、という話につながりますが、後者の場合は、論理的思考が鍛えられていないが故のワナとも言えます。

「目的」とは目指すべきものを意味し、その目的を実現するための行動や要素が「手段」です。
論理的思考力が高ければ、物事の構造をきちんと整理して考えられますので、目的と手段という構造も同様に整理ができた状態で行動を進められます。
しかし、論理的思考力が鍛えられていなければ、気がつけば手段が目的に入れ替わっていた、ということはよく起こりえますので注意が必要です。

例えば、社員同士のコミュニケーション強化のために社員旅行を毎年行おう、とした場合に、数年経過すると旅行をすることが目的になって旅行好きな人のみのイベントになっていた、というような話も実際にございます。
このような手段の目的化が起こってしまうのは、目的と手段のそもそもの構造にも注意点がございます。解説を加えます。

なぜ「手段の目的化」が起こるのか?

先の社員旅行の話を例にしましょう。
社員同士のコミュニケーション強化は、実は、モチベーション向上や売上拡大などの目的の手段であったりもします。

目的には更に高度な視点での目的が存在するものであり、高い目的から見るとその下層にある目的は手段に当たる、というのが目的と手段の構造です。
その為、目線の置き方によって目的と手段が入れ替わる、というのは、ある意味で当然の現象でもあるのです。

何のためにその行動、手段を行っているのか?その答えが高度な目的を意識できていれば、より良い成果にもつながりやすくなります。

感情論が先行している

論理的な状態というのはある意味、機械的であり、人間ならではの感情的な状態とは相反するものです。

論理的思考が鍛えられていない方の中では、感情論が先行しているということも多くございます。
なお「先行している」としてますのは、感情を持っているというのが悪いという話がしたいわけではない為です。人間である以上、感情は付き物です。そのため、感情論を先行させるのではなく、論理的に双方の意見や主張を整理し、相手の感情を理解していく、「順番」が大切ということです。

論理的思考を鍛える基本姿勢

では、論理的思考を鍛えていくにはどうしたら良いのでしょうか。ここから具体的に論理的思考を鍛えるテクニックについて解説いたします。
まずは基本姿勢ともいえる部分から説明いたします。

ゼロベース思考であること

自身の歩んだ経験や知識で既成概念や常識が定着していきます。
論理的思考を鍛える為には、一度、この既成概念や常識という先入観を捨てる必要がございます。
ゼロベース思考とは、このように既成概念や常識を取り払ったフラットな状態で思考を開始する方法です。

仕事の現場では特に、「以前はこのやり方でうまくいった」「この営業で成功した」、というような経験則が新しい発想を阻害してしまいがちです。
論理的思考を鍛えるうえでは、このような経験や知識に基づく常識をリセットすることが大切です。

思考の癖に気づくこと

論理的思考を鍛える入口としては「思考の癖」に気づくことも大切です。
人はそれぞれ価値観が異なりますので、客観的で正解のような結論や意見であっても、実は自分の主観的な意見に過ぎないかもしれません。
また、一度出した結論へも、他には無いか?と自分自身へ問いかけることで、思考の幅が広がるかもしれません。

このように、自分の価値観や思い込みによる思考の癖は、誰にでもあるものです。
論理的思考力を鍛えるためには、自分の思考の癖にきづくこと、思考の癖があるという前提で考えてみること、も必要となります。
前提となる部分を疑う思考法にクリティカルシンキング(批判的思考)がございます。クリティカルシンキングもロジカルシンキングと同様、問題解決力の向上には欠かせないビジネススキルです。

クリティカルシンキングとは?

客観的な視点で物事を分析し考える思考法で、多角的にその物事の本質を捉えていく思考プロセスです。自分の経験や感情、前提となるものへ疑問を持ち批判的な立場から考えることから、クリティカルシンキング(=批判的思考)と呼ばれます。

論理的思考の鍛え方

では、ゼロベース思考と自分の思考の癖を意識しながら、論理的思考を鍛える方法について詳しく見てみましょう。

具体的にする

論理的思考の鍛え方のひとつ目は、言葉を躯体的にしていく、という事です。
曖昧な表現は避け、具体的な言葉で明示していくようにしましょう。
例えば、数字化できるものは数字化するというのも大切です。ここでいう数字化とは、量や時間など測れるものをさします。期日や期限なども「なるべく早く」や「早めに」といった曖昧な表現ではなく、「いつまで」と具体的に明示しましょう。

そこでおすすめなのが「たとえば」という接続しを使うことです。
例えばは抽象的な物ごとを具体的な言葉で言い換える時に使う接続詞です。
「たとえば」を意識的に使うことは、結果として具体的にすることへつながり、論理的思考を鍛えていくことができます。

結論を押さえる

繰り返しになりますが、論理的な構造には「結論」が明確にあります。
結論とは、自分の考えで主張したい意見のことです。まずは結論を押さえること、結論に拘ること、思考の筋トレのように結論は何か、を繰り返し問いかけ続けてみると良いでしょう。
相手に伝える際にも、「結論から言うと」から始めると結論から言うのに適しています。
但し、「結論から言うと」と言いながら結論から言わない人も意外に多いです。
例えば、上司から「A社は受注できたのか?」と問われたとします。

このケースを結論から言うのであれば、「受注できた」か「受注できていない」しかありません。
結論から言わない人の多くは、結論から言うとといいつつ、A社への自分の活動履歴や、そもそもA社の状況は、等から話を始めてなかなか結論に至りません。
論理的思考を鍛えるのであれば、常に結論を押さえること、これは欠かせません。

結論を根拠で支える

結論を押さえたら、次はその結論を根拠で支えていきます。
結論が一番上にあり、その下にいくつかの根拠が並ぶピラミッド型の構造をイメージしてみると良いでしょう。

更に根拠の下に、根拠を裏付ける事実(データなど)で支えられると、一番上にある結論は納得感の高いものとなります。
こちらも繰り返しにはなりますが、論理的構造とは、結論を押さえ、その結論を根拠で支える構図で成り立っています。

論理的思考に役立つツールと実践方法

論理的思考について、重要性や鍛えるメリット、そして鍛え方について解説してまいりました。
ここから、具体的に論理的思考を使う上で役に立つツールやベーシックな考え方についてご紹介いたします。

「図解」して考える

図解とは、物ごとの解説を言葉と図を合わせて行う解説方法です。文章や言葉のみでは伝わりにくいことも図解することで解りやすくなります。

図解の要素は「図形」と図形をつなぐ「関係線」、そして補足する言葉です。
図解して考えることは、図形の関係を意識できますので、その因果関係や流れ、集合における関係性、などがよりクリアになります。
また図解して考えることで、漏れていた要素なども見つけやすくなります。

図解する為のツールは様々。業務に合わせて最適な図解を使用する。

「MECE」な状態で網羅する

MECEとは、ミーシーと読み、「漏れなくダブりなく」という意味合いで使用されます。
その語源は、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取っており、論理的思考(ロジカルシンキング)の元となる概念として広く紹介されております。

論理的思考の役割のひとつは構造化です。この構造に漏れがあっては考えが不十分ですし、ダブりがあっては考えに無駄が多くまとまりきっておりません
その為、漏れなくダブりの無い状態で構造化することが論理的思考のゴールでもあります。
MECEは、漏れなく、そしてダブりの無い構造を整理するために役立つツール(考え方)です。

また、MECEについては、次に紹介する「フレームワーク」を活用してみるのもおすすめです。

「フレームワーク」を活用する

フレームワークとは、考えるべき要素や考えなければならない要素をテンプレートとして落とし込んだツールで、その要素(フレーム)を埋めていく一連の作業を意味します。

論理的な構造を整理する上では最適なツールであり、先述したMECE(漏れなくダブりなく)な状態を作るにも大切なツールです。
論理的思考において役立つ代表的なツールをいくつかご紹介いたします。

3C

3Cの要素は自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)で、それぞれの頭文字のCから3Cと呼ばれます。
フレームワークとしても、市場分析のツールとしても有名ですので耳にしたことのある方は多いでしょう。

おすすめの使い方は自社の強みを結論として導き出すことです。
強みとは、顧客が求めていることに対し、競合はできず、自社なら提供できる、という点です。
自社と顧客と競合の関係性によって上記を導き出し結論を出す際には3Cは使いやすいツールです。

SWOT

自社の強みと弱みを、内部と外的な要因から分析するフレームワークがSWOT(分析)です。
強み(Strong)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字からSWOTと呼ばれます。
事業戦略策定などにおいてよく使われます。

4P

商品のマーケティング戦略に使われる代表的なフレームワークが「4P」です。
こちらは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)と、製品を世に出し広めていく上で欠かせない4つの要素の頭文字から4Pと呼ばれております。
商品を、どのような価格で、どのような流通網(販路)を活かし、どんな販促や広告を実施していくのか、要素の一つひとつを埋めながら考えていくことができます。

STP分析

戦略立案の代表的なフレームワークがSTP分析です。
市場を細分化するセグメンテーション(Segmentation)、細分化した市場の中でも狙うべき市場であるターゲティング(Targeting)、ターゲティングした市場での自社ならではの立ち位置だるポジショニング(Positioning)の3つの要素から、事業や商品、営業における戦略を組み立てていく際に活用されます。

「ロジックツリー」で整理する

フレームワークの中でも特に、論理的構造の整理に向いているのがロジックツリーです。
ロジックツリーは、問題や課題の一つのテーマから、その要素を分解して広げていき最適な解決策を導き出す際に使われます。
大きな木が枝分かれしていくように、問題の要素が分解されていく様から、ロジックツリーと呼ばれます。

ロジックツリーを使うメリットは、課題の全体像を把握できる点です。
その為、本質の課題や課題への施策、その優先順位などが整理しやすく考えやすくなります。

「演繹法」と「帰納法」で主張と根拠を明示する

論理的思考の考え方の観点として演繹法(えんえきほう)と帰納法(きのうほう)がございます。
演繹法は既にある一般論やルールといった前提から、論理を重ね結論を導きます。
代表的なのに有名な、「すべての人は死ぬ(一般論、大前提)、ソクラテスは人である(小前提)、ゆえにソクラテスも死ぬ(結論)」というアリストテレスの三段論法がございます。
簡潔に示すと、「AはB、BはC、AはC」と示す論法が演繹法です。

ただし、この演繹法には欠点もあります。それは前提となる一般論が間違っているとされた場合に、結論も間違いであると反証されるという点です。
そこで、一般論をデータなどで裏付けていく作業も必要となります。
ここで使われるのが帰納法です。

帰納法とは、複数の事実や事例をもとに、共通点を導き出し結論を出す方法です。よって一般論となる結論を出すのに最適な方法となります。
帰納法で演繹法で一般論としたい部分を補うことで、主張と根拠がより納得感のいく状態となります。

「弁証法」を取り入れ発想を生み出す

少しテクニックが必要ですが、弁証法についてもかんたんに解説いたします。
弁証法とは、物ごとの対立関係や矛盾に着目し、新しい発想を見出す考え方です。
対立や矛盾を克服する考えから新しい発想が生まれるプロセスとなります。

論理的思考における注意点

論理的思考に役立つツールなどをご紹介いたしました。
これらのツールを使い、論理的思考の鍛え方にあるような事例を繰り返し実践いただくことで論理的思考は身に付けていくことができます。
最後にひとつだけ注意点についても補足いたします。

結論を押し通すためではなく、コミュニケーションツールであること

論理的思考を使う目的についてです。
自分の主張や意見は論理的な構造により、伝わりやすく納得させやすいものとなるでしょう。
仕事においてもプレゼンや商談、様々な場面で自分自身の武器として活用していくことができます。
ここで注意したいのが、論理的思考を、自分自身の考えや主張を押し通すことだけを目的とするツールにしない、ということです。

相手とのコミュニケーションを経て自身の主張が通る方が、相手の納得感も深く、結果としてその主張の実現への力になるからです。
論理的思考力を活かし、相手をより深く巻き込むコミュニケーションを実践いただければと思います。

まとめ

今回は、論理的思考力をテーマにその構造や重要性について解説いたしました。
なお本サイトが伝えたい大きなカテゴリーとして思考法や、プレゼンテーションがございます。これらは、論理的思考を実践し仕事の成果へつなげていただくために欠かせない要素となります。
そのため、今回、論理的思考の鍛え方や実践的なツールについても紹介はしておりますが、改めてそのひとつひとつをより具体的に紹介させていただきます。

記事執筆者
Kazu

営業及びマーケティングでマネジメント職に従事すること10年。
現職では法人向けに業務効率系のITツールを販売する新規SaaS事業を立ち上げから携わり、日々、取引先の業務効率向上に向けて活動しています。

(営業・マーケティング実務の主な略歴)
・toC向け通販やECサイト事業会社へ事業企画や事業戦略立案
・SaaS事業の立上げと運営
・企業が運営するコラムの企画提案や記事執筆

仕事柄での経験を通じた働き方改革や仕事術を社内向けに整理しながら、2023年2月、仕事に役立つ情報を共有するサイトとして「e-仕事ラボ」を開設。
現在はChatGPTも駆使しながら業務を進める傍ら身に付けたプロンプトの独自のノウハウをチームメンバーに伝授。
本サイトでもデジタル社会での仕事や業務効率化に役立つ情報をお届けしていきます。

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