MECE(ミーシー)とは?問題解決にMECEが必要な理由と使い方を具体例も踏まえてわかりやすく解説

思考法

本記事では、問題解決に必要なスキル「MECE」について、具体例や事例、使い方を解説します。

仕事をより良く進めるために問題解決能力が求められますが、問題を正しく定義し解決していくために求められるスキルにMECE(ミーシー / ミッシー)がございます。
MECEとは、「もれなくダブりなく」という意味で用いられる考え方で、論理的な問題解決を行う上で必要とされるスキルです。

以前、MECEについて、論理的思考に役立つツールとしてご紹介しました。

今回は、MECEのみをテーマに徹底解説いたします。

MECEのみで記事を掲載しようと思いましたのは、「MECEが問題解決を解説する上で、大前提となるスキル」であるためです。

当サイト「e-仕事ラボ」は、仕事関連の記事を大きく5つの分野に分けて構成してます。

(5つの分野:業務効率化、コミュニケーション、思考法、ビジネスマナー、プレゼンテーション)

(参考):e-仕事ラボとは

このカテゴリーのひとつにあるのが「思考法」であり、論理的な思考力を活かし、問題解決を進める上で、MECEは欠かせない要素となります。
そこで今回は、「MECEとは」という観点のみで重点的に解説しておこうと考えた次第です。

こんな方へおすすめ
  • 仕事で失敗が多い、同じミスを繰り返してしまう方
  • 説明やプレゼンがわかりにくいと言われる方
  • 会話で結論が明示できない方

MECEで物事を考えることができれば、論理的な思考力や問題解決力は各段に向上します。

ぜひ参考にいただきMECEで考えるクセを身に付けていただければと思います。

MECEとは

MECE(ミーシー)は、「モレなく、ダブりもなく」と訳される、論理的思考の基本となる概念です。
論理的思考・ロジカルシンキングを実践するうえでも、そして問題解決の手法としても紹介されることが多い非常に大切な考え方です。

MECEという言葉そのものは造語で、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字(MECE)を取っており、ミーシーやミッシーと呼ばれます。
まずMECEに使われる単語それぞれの意味を確認してみましょう。

Mutually:相互に
Exclusive:重複せず
Collectively:全体に
Exhaustive:漏れがない

よって、MECEは大きく、「相互に重複せず:ダブりがない」と「全体に漏れがない:モレなく」という二つの意味を持っております。

問題解決など、何か物事を考える際には、必要となる要素に漏れがないよう網羅しながら、それぞれが重複しないように考えることが大切です。
MECEは「モレなく、ダブりなく」という状態を意識し考えを整理できているか確認する際に使われます。

「相互に重複せず」とは

MECEの大切なポイントのひとつ、Mutually Exclusive(相互に重複せず)とは、なぜ必要とされるのでしょうか。
物事を考える際に何度も重複したことを検討していても非効率ですし、考えが重複した内容に関連することに偏ってしまいます。
その為、考える際の要素は、それぞれが相互に重複しないように考えていく必要がございます。

「全体に漏れがない」とは

では次に、Collectively Exhaustive(全体に漏れがない)についてはいかがでしょうか。
物事を考える際の全体を捉えてなければ、考えなければならないポイントを見落としてしまいます。結果として問題を解決できないということにもつながります。
物事を考えるうえで、「全体は何か」を押さえることは非常に大切です。

MECEがビジネスにおいて必要とされる理由

それではMECEの必要性について整理しておきましょう。

それぞれ詳しく解説します。

論理的な思考が身に付く

ビジネスでは、営業戦略・商品企画・市場調査・経営戦略、様々な場面で論理的な思考が求められます。
論理的であることはシンプルでわかりやすく、矛盾や飛躍のない筋の通った状態を作ることができます。

論理的に考えるプロセスは、考える内容となる全体を捉え、全体を考えるべき枠組みを設定するのが一般的です。
漏れがないように全体を捉え、重複しない枠組を設定するアプローチはまさにMECEの概念を用いており、MECEを利用することは、論理的な思考を身に付けていくことへつながります。

問題解決に役立つ

MECEは問題解決の場面で大いに役立ちます。
まず問題は何かを的確に押さえ、問題解決に必要な要素を漏れなく検討進めることができます。
またダブりのない状態で考えることにより効率的な問題解決が実現できます。

ビジネスの場面で発生する様々な問題は、複雑そうに見えてもシンプルに構造化することで解決を導きやすくなります。
その際に使われるツールとしてロジックツリーと呼ばれる問題解決のフレームワークがございます。
ロジックツリーは問題の要因を分解し、要因を掘り下げながらツリー状に検討を深めていくフレームワークです。
ロジックツリーを使うことで、問題の要因を漏れなく検討することができ、深く掘り下げながら問題の根本となる原因まで理解を深め解決策を導くことができます。

ロジックツリーを使いこなすにはMECEは欠かせない考え方となります。
逆に言えば、MECEを身に付けておくことは、問題解決の手法でも応用できますので役立つスキルとなります。

ロジックツリーについては改めて詳しく解説させていただきます。

MECEでない状態とは

ここで、MECEについての理解を深めていただく為に、MECEでない状態について具体的な事例を交えながら解説いたします。具体的なイメージを持つことでより理解を深められます。
MECEでない状態は以下に分類することができます。

それでは、それぞれ詳しく見てみましょう。

漏れがあり、ダブりがない状態

まず、漏れがありダブりがない状態です。要素同士は重なっていないのですが、全体を見た時に、検討すべき要素で抜け漏れがある状態です。
例えば、商品のターゲットを検討する際に、年代で分類するといった場合で考えてみましょう。

10代・20代・30代・40代
で分類し検討したとします。

それぞれは重複しておりませんが、ここには、50代以上や、10代未満といった要素が含まれておらず漏れがある状態、と言えます。

漏れはないが、ダブりがある状態

次に、漏れはないがダブりがあるという状態です。要素を押さえたとしても重複する要素があっては非効率です。
商品のターゲットを検討する際を例として、次のように分類した場合はいかがでしょうか。

「大人向け」「子ども向け」「男性用」「女性用」

適切に分類されているようにも見えます。しかしながら、同じ男性でも大人と子どもが存在するように、重複した要素が存在してしまいます。
このような状態が、漏れはないがダブりがあるという状態となります。

漏れもあり、ダブりもある状態

最後に、漏れもダブりもある状態を見てみましょう。
検討すべき要素を適切に押さえきれてなく、無駄も多い状態です。
ターゲットの属性を「学生」という要素で分類した場合を例にしてみましょう。

「小学生」「中学生」「高校生」「受験生」

いかがでしょうか。
まず、学生というと大学生も含まれますので上記では漏れている状態です。
また、受験生の中には、現時点で中学生や高校生というケースもあるため重複した要素が含まれてしまいます。

このように、MECEでない状態を具体例でイメージしてみておくと、実際にMECEで物事を捉えるという感覚が身に付きやすくなります。

MECEな状態にする方法

「MECEでない状態」がイメージできると、「MECEな状態」もイメージしやすくなっているかと思います。
ではMECEな状態にするにはどのように整理していくべきでしょうか。
ここで、MECEに物事を考える上での2つのアプローチ方法をご紹介いたします。

それぞれ詳しく見てみましょう。

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチは考えるべき対象の全体像を捉え、全体から必要な要素を分析し分解していく方法です。
その為、全体像を的確に押さえておく必要がございます。

トップダウンアプローチであれば、物事を体系的、且つ俯瞰的に考えることができます。
また全体から捉えることで、必要な枠組みの分解がしやすいという利点がございます。

しかしながら、全体像が正しく押さえられていなければ抜け漏れが生じる可能性につながります。

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチは、要素から全体像を描いていくアプローチ方法です。
検討すべき課題がいくつか見えているが全体像がまだ不明瞭な状態という場合に有効な手法です。

ゼロからの思考整理でも役立つのがボトムアップアプローチの利点ですが、一方で、そもそも要素に抜け漏れがあると正しく全体を捉えられないという結果につながり
2つのアプローチ、どちらが正しいというのではなく、両方の利点を活かし全体と要素のそれぞれを検討していくのがおすすめです。

漏れがない状態のために

MECEでは、「漏れをなくす」という概念は非常に大切です。
仕事でも目の前にある「木」にばかり目がいき「森」を見失うということが多くございます。
ここで全体の「森」を俯瞰してとらえ、抜け漏れがない状態のために必要なことを改めてお伝えいたします。

全体増を把握し捉えるということ

全体像を把握するということは実は難しいことです。
どこまでを全体とするか、によって捉え方が異なるためです。
大切なのは、全体というのは集合体である、ということです。
解を出すべき物事に対して必要な要素の集合体が全体です。

ここでは、求める解の高さをどこに置くのかが大切です。
営業部門であれば、会社の収益を考える際に、「売上」を全体とするのか、それとも「利益」を全体にするのかでは、考える要素が当然異なります。

何を全体とするか、は問題解決のプロセスにおいて大切なポイントです。

ダブりがない状態にする方法

全体を捉えるために広げて考えていくと重複して同じことを考えてしまう可能性もございます。
次に、ダブりがない状態で考えるための方法をご紹介いたします。

それぞれ詳しく解説いたします。

要素分解

全体とはどのように構成されているのかを考え、構成している要素を挙げていく方法が「要素分解」です。
全体を構成する要素を足したり積み上げたりする考え方ですので、「足し算型」「積み上げ型」とも言われます。
要素分解は、分解した要素ごとの分析や考察に適しており、解決策の検討に役立ちます。[
例えば、売上髙を「既存顧客からの売上」と「新規顧客からの売上」に分解した場合、既存と新規ではそれぞれ違う施策が検討されるべきであり、要素分解することで、要素ごとの解決策を検討しやすくなります。

因数分解

因数分解とは、足し算のほか、掛け算や引き算、割り算を用いて要素を分解する方法をいいます。
先ほどの例で売上高を既存顧客と新規顧客の要素分解したとして、更に既存顧客を更に分解する際には、「客数」×「購入頻度」×「購入単価」という掛け算で分解することができます。
因数分解することで、売上を増やす方法を考える際に、どの要素で検討するのが最善なのか、どのような施策があるべきか、といった観点で検討しやすくなります。

時系列

時系列での分解はいわゆるフローや物事を進めるステップに着目してダブりがないように整理する方法です。
売上に至るまでの顧客の心理を認知から興味・関心、比較・検討、そして購買、というように分解したり、商品を販売するまでの過程を仕入れから加工や製造、そして出荷するまでのフローとして分解するなどです。
時系列の代表的なフレームワークとして、AIDMAであったりバリューチェーンやプロダクトライフサイクルなどがあります。

対象概念

対象概念は、あえて対照的な要素を検討に加えることでダブりなく漏れのない状態で考えることができる方法です。
代表的な対象概念としては、「主観」と「客観」、「質」と「量」、「メリット」と「デメリット」などがございます。

MECEに役立つツール

ダブりを無くし漏れなく検討する為に役立つツールがフレームワークです。
MECEな状態で考えを深めるのに役立ちます。

フレームワークとは

フレームワークとは、様々なビジネスで共通して用いることができる考えを「型」としてせいりするためのツールです。
フレームワークを利用することで、問題解決はもちろん、意思決定や分析、あるいは戦略立案にも役立てることができます。
予め用意された枠組みがあることで、検討しやすく、検討にあたっての漏れやダブりをなくすことにつながりますので、MECEな状態で検討するのに役立ちます。

代表的なフレームワークについては、下記の記事でもご紹介しております。
宜しければ合わせてご参照ください。

問題解決にMECEが必要な理由

会社が事業を営むうえでは、大小の違いはありますが様々な問題が必ずございます。
問題を解決することは、自社のサービス向上や製品品質の向上、そしてお客様の獲得へとつながります。

そして問題解決にはMECEで考えることは不可欠です。
その理由についても解説いたします。

問題解決とは

問題解決とはどのように定義されるのでしょうか。
まず、「問題」とは、現状とあるべき姿とのギャップです。このギャップが問題にあたります。
そして問題解決とは、その問題における真の問題を捉え必要な解決策を投じて解決していくことです。
問題に類似した言葉では「課題」がございます。
課題とは、問題を解決するために課せられた具体的な解決策を意味します。

理由①問題の本質を正しくとらえられる

問題解決において、問題の原因を正しく特定し、その本質を捉えることはとても重要です。
問題の本質を捉えていないと、表面的な解決策ばかりで真の問題を解決することができません。
MECEで考えるステップでは、全体を正しく押さえることができます。
問題の全体像を捉えることは、真の問題を特定するためにも大切な役割を果たします。
その為、問題解決にはMECEが必要となります。

理由②解決に必要な解決策を多方面から立案できる

真の問題を特定できたら解決に必要な解決策を立案していきます。
その際に検討漏れがあっては、解決策にも抜け漏れがある状態となってしまいます。
MECEは漏れなくダブりなく考えるためのツールです。
漏れが無い、多方面からの解決策を立案するためにもMECEは必要とされます。
解決策を立案するためにはロジックツリーを用いてMECEで考えるのも有効です。

ロジックツリーとは

問題解決のための課題に対して、具体的な策となる要素をツリー状に図解したフレームワークが「ロジックツリー」です。
ロジックツリーは問題解決のための定番のフレームワークで、作成する上ではMECEな状態になるように作成するように心がける必要がございます。
ロジックツリーを活用することで、問題に対して論連のズレを防ぎ、課題を深堀りして検討していくことができます。
解決策を検討し立案していくうえで大切なフレームワークとなりますので、改めて詳しくご紹介したいと思います。

MECEの具体例

最後にMECEな状態の具体例についていくつかご紹介いたします。

顧客数

既存顧客+新規顧客-流出(解約)顧客

顧客数を維持拡大する施策は、既存顧客を流出させないか新規顧客を増やすということとなります。
顧客数をMECEで因数軍会することで具体的な施策が検討しやすくなります。

売上

顧客数×購買頻度×購入単価

前述しましたが、売上髙を構成する要素をMECEで分解した事例です。
顧客数は前述のとおりに更にMECEで分解できます。
購買頻度(あるいは購入率)を上げるか購入単価を向上させるか、分けて考えた方が具体的な案を出しやすくなります。
また、購入単価も更に分解するのであれば、「購入点数」と「1点あたりの単価」と分けることも可能です。
このように、要素を分解しながら掘り下げる際にもMECEは使われます。

営業利益

売上-原価-販売費-一般管理費

利益を上げるには、売上を上げるか経費を削減するか、です。
より詳細に分けると上記のようになります。
それぞれの項目を時系列や製品ごとに比較して見ることで解決策が導きやすくなります。

まとめ

問題解決に不可欠なMECEについて解説させていただきました。
MECEはシンプルに図解することができますが、実際にMECEな状態で検討しようとしても、抜け漏れがあったり同じことを何度も検討してしまったりするものです。
どうしても人には思考にもクセがあるものです。
そのクセを無くすためにもMECEを意識的に取り入れること、フレームワークを活用すること、が大切です。

記事執筆者
Kazu

営業及びマーケティングでマネジメント職に従事すること10年。
現職では法人向けに業務効率系のITツールを販売する新規SaaS事業を立ち上げから携わり、日々、取引先の業務効率向上に向けて活動しています。

(営業・マーケティング実務の主な略歴)
・toC向け通販やECサイト事業会社へ事業企画や事業戦略立案
・SaaS事業の立上げと運営
・企業が運営するコラムの企画提案や記事執筆

仕事柄での経験を通じた働き方改革や仕事術を社内向けに整理しながら、2023年2月、仕事に役立つ情報を共有するサイトとして「e-仕事ラボ」を開設。
現在はChatGPTも駆使しながら業務を進める傍ら身に付けたプロンプトの独自のノウハウをチームメンバーに伝授。
本サイトでもデジタル社会での仕事や業務効率化に役立つ情報をお届けしていきます。

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